【膜】無吸収膜の分光ピーク反射率から屈折率を算出する手順_演習付
- 基板上の無吸収膜に垂直入射して測定した反射スペクトルR(λ)から,基板(ns,k)の影響を除いた反射率RA(λ)を算出し,ノイズ除去のためフィッティングし,RA(λ)のピークにおける反射率RA,peakから屈折率n を算出できる.
- メリット: 屈折率を求めるのに,物理膜厚はunknownでok.低屈折率の薄膜では,光吸収の影響が現れにくいのでこの方法を適用しやすい.
- デメリット: 膜の光吸収(による反射率の低下)や,分光反射率の測定精度(絶対誤差~0.1%,R=10%の場合に相対誤差~0.1%/10%)=1/100が,屈折率の不確かさにつながる.高屈折率の厚膜では,光吸収(による反射率の低下)の影響が現れやすいので,この方法を適用するには注意が必要である.
*入射角5度であれば,垂直入射と同等とみなせます.
*分光反射率R(λ)と分光透過率T(λ)を測定し,無吸収とみなせる波長範囲を確認する必要があります.
*【メモ】1.のグラフは差替予定.
*基板材料のnkデータは、光学定数データベースから用意する。
nkデータの波長間隔を、1.の反射スペクトルデータ(分光測定データ)のそれと揃えておく。
*ここで用いた式は,参考文献の式(1)(5)(8)から引用している.
*“膜n > 基板ns” の場合には反射スペクトルの極大値(ピーク反射率)を用い,“膜n < 基板ns” の場合には極小値(ボトム反射率)を用いる点に留意する。
*基板に光吸収がある波長域では、干渉による反射スペクトル変化より、光吸収による反射スペクトルの減少が大きいことがある。上記グラフの例では、長波長側ほど基板の光吸収が大きいので、R(λ)のピーク波長とRA(λ)のピーク波長とが見かけ上ずれている。
*屈折率nが妥当であれば,各ピーク波長から算出した物理膜厚dはすべて一致するはずである.
演習
薄膜のピーク反射率から,薄膜の屈折率を求める計算演習をやってみましょう.
(1) 上記サイトにて,Air/薄膜/基板の構造にして反射率 RA(λ) を計算し,データを保存します.
(2) 計算データから,RA(λ) のピーク(またはボトム)反射率 RA,peak を読み取ります.上記資料3節参照.
(3) 基板の屈折率(ns)を,別途,求めておきます.
(4) 上記資料4節の式に RA,peak と ns を代入すれば,薄膜の屈折率を求めることができます.