【膜】無吸収膜or弱吸収膜の分光ピーク波長から屈折率を算出する手順_演習付
- 基板上の無吸収膜or弱吸収膜に垂直入射して測定した反射スペクトル(または透過スペクトル)のピーク波長λmと,膜の物理膜厚dから,膜の屈折率波長依存性n(λ) を算出できる.
- 光学膜厚ndを厚くする(厚膜にする)ことで,取得ピーク数を増やせる.例えば下の測定例では,nd=3.2μm(d~1μm).
- 光学膜厚が薄い場合には取得ピーク数が少ないので,①分散曲線にフィッティングするか,②2ピーク間を直線補間するか,によりn(λ)を得ることになる.
- メリット: 反射率や透過率の値は不問.必要なのはピーク波長のみである.(ピーク波長は1/1000程度の精度で求まる.)高屈折率の弱吸収厚膜でも,(光吸収のためピーク反射率の低下はあるが,ピーク波長の変化はないので)この方法を適用できる.
- デメリット: この方法で求まるのは光学膜厚ndなので,屈折率nを求めるのに物理膜厚dが必要.物理膜厚の測定精度(dektakでの経験的な絶対誤差~10nm,d=1000nmの場合には相対誤差~10nm/1000nm)=1/100が,屈折率の不確かさにつながる.
*入射角5度であれば,垂直入射と同等とみなせます.
*分光反射率R(λ)と分光透過率T(λ)を測定し,R+T=80~100%となる波長域λに適用できます.
演習
薄膜の分光ピーク波長から,薄膜の屈折率を求める計算演習をやってみましょう.
(1) 上記サイトにて,Air/薄膜/基板の構造にして反射率 R(λ) を計算し,データを保存します.
ここで (薄膜の屈折率) > (基板の屈折率) の関係を満たすように,基板に “Air” を選ぶと簡単です.
(2) R(λ) からピーク波長を読み取ります.
(3) 上記資料1節から順に計算していけば,薄膜の屈折率を求めることができます.