電気電子工学科の紹介

電気電子工学科の概要

 電気電子工学は,電気エネルギーの発生やその変換・制御技術,半導体デバイスや光デバイス技術,磁性体や超伝導体を含めた材料技術,携帯電話に代表される無線通信や光ファイバ等を利用する光通信技術,これらに関連した信号処理・情報処理技術,ロボットやエンジンなどの制御技術などの現代を支える基幹技術を対象とした技術・学問分野です。高度に技術化した現代社会において,電気電子工学の基盤技術・学問分野としての地位は揺るぎないものがあり,今後ますます発展していくことも必然です。

 本学科のカリキュラムは電気電子工学の基礎を着実に修得させることを第一にした構成であり,卒業後,それをベースに社会の幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指しています。さらに,自ら問題を発見・解決できる自立した技術者・研究者を育成することも本学科の使命であると考えています。

 本学科では求める学生像は,

(1)電気電子工学を学んでいくための基礎となる科目を高等学校等において修得している人

(2)専門書や原著論文で学ぶには外国語,特に英語の語学力が必須であり,その修得に意欲を持つ人

(3) 電気電子工学やその関連分野における専門知識を学修していく意志のある人

であり,これをアドミッション・ポリシーとして入学者を選抜し,教職員一同,前述した教育目標を達成するべく努力を続けています。カリキュラムにもさまざまな工夫をしていますので,本学科のカリキュラムの特徴について以下にまとめておきます。

@ 学部1年生の前期に「新入生セミナー」を開講し,電気電子工学への導入教育を行っています。これにはまず各自を良く見つめ直してみることから始めます。基礎学力の習熟度だけでなく,自分の性格や将来の夢,目標を再確認します。それを達成するため大学で何を学びどのような経験をすべきかを考え,大まかな学生生活の計画を立ててもらいます(導入キャリア教育)。そのために電気電子工学分野の説明や学科研究室の概要説明を聞いたり,「電子回路工作」などの体験実習も用意されているので,是非,改めて電気電子工学への興味を持って下さい。また,履修法を理解することを重点とした修学指導も行います。同じく1年生の前期に,リメディアル教育の一環として「電気電子数学入門(教養科目)」も開講しています。この科目は,大学の数学の授業に臨むにあたり,基礎学力の不足を自覚して不安を感じている入学者に対し,高校数学の補習と大学数学への橋渡しとなることを目的としています。さらに,高校物理の補習の役割を持つ科目としては,1年生の後期に「初等量子論」を開講しています。

A 電気電子工学科の専門基礎科目を「電気電子数学及演習」,「電気回路A, B, C」,「電気磁気学A, B, C」とし,これらを必修科目として学部1〜2年で履修します。電気電子数学及演習では,講義とは別に演習の時間も設けられています。演習では,担当教員に加え,複数のティーチングアシスタントが教育補助にあたり,きめ細かな指導のもと,受講者各自が問題解決法を習得します。電気回路と電気磁気学には基本的に演習の時間はありませんが,受講者が自分自身で問題を解けるようになり,自分自身で理解度をチェックできるようにするための課題が与えられます。万一自学自習で十分な力を付けられなかった場合には,講義の次の学期に開講される電気回路および電気磁気学の演習に出席し,力を付けてもらうことになります。さらに,実習を含んだ演習科目「電気電子工学リテラシー」,実験科目「電気電子工学実験A, B, C」を必修科目として学部2〜3年で履修します。

B 電気電子工学の専門教育として,多彩な学科専門選択科目(A群,B群)が開講されています。後述する3つの専門分野に関連した専門科目が系統的に開講され,みなさんの知的欲求に十分応えられるようになっています。なお,第4年次に履修する授業科目を極力減らし,卒業研究に集中できるようなカリキュラム編成としています。

C 電気電子工学は今も発展し続けています。最先端の内容を学びながら,高いレベルの研究に携わりたい諸君には,大学院への進学を勧めます。いわゆる「BM一貫教育」とは,学部4年間(B)と大学院博士前期課程(M)(通称,修士課程といいます)2年間の計6年間を一貫して教育する体制であり,本学科のカリキュラム編成もこれを意識したものになっています。

履修全般に関わる詳しい内容は,第3章にまとめていますので参照してください。

なお,本学科では,広範な電気電子工学の学問分野を,

(1) 電磁エネルギー工学

(2) 電子物性工学

(3) 情報通信システム工学

の三つに大きく区分して考えています。三つの学問分野は相互に密接に関連しており,各分野の教員は緊密な協力関係をもって学科の運営を行うとともに,それぞれの専門分野に関連した教育と研究を行っています。

 本学科では,電気電子工学全体にわたる調和のとれたカリキュラムを編成し,徹底した基礎力の付与と,その向上および柔軟な応用力を身につけることを教育の基本方針として,その実現のためにカリキュラムにさまざまな工夫をしています。そこで,電気電子工学科のカリキュラムの特徴について以下にまとめておきます。

指導教員・担任

 学生諸君の大学における生活の公私両面に関する指導と助言を行うために,入学年次ごとに2名の指導教員が決められています。本学科ではさらに,1学年の学生を5名程度の小グループに分け,全教授・准教授がその小グループを担任する制度を導入しています。各小グループの担任は,2名の指導教員と連携しながら,よりきめ細かな指導と助言を行ないます。修学上の問題や学生生活に関する問題が生じたとき,あるいは人生に関する悩みがあるときなど,一人で悩むことなく,指導教員・担任に相談することが賢明です。表1に各入学年度の指導教員名と居室の電話番号を記します。小グループの担任については,諸君が入学後,掲示などでお知らせします。

 指導教員・担任は大学において諸君の資質と能力を充分に伸ばし,人格の完成を期すよう努めています。

 なお,第4年次に進級し研究室に配属になると,その卒業研究指導の教員が指導教員(かつ担任)になります。

指導教員
入学年次 指 導 教 員
2018年度

古神 義則 教授

柏倉 隆之 准教授
2017年度

東口 武史 教授

茨田 大輔 准教授
2016年度

船渡 寛人 教授

清水 隆志 准教授
2015年度

平田 光男  教授

森 大毅  准教授

履修について

 履修の方法や関係する規程(履修規程)は,入学時に配布される「履修案内」に記載されています。「履修案内」の表紙には,「○○年度入学者用」と明記されています。自分の入学年度に対応する「履修案内」は,入学時にしか配布されません。大切に保管しておきましょう。

以下は,履修について特に重要な事項をまとめたものです。詳細は「履修案内」で確認して下さい。不明な点は曖昧なままにせず,担任の教員などに聞くなどして下さい。

3-1 学習・教育目標

電気電子工学科では表2に記載の8つの学習・教育目標を定めています。卒業生全員が,これらの目標全てを達成するようカリキュラムが用意されています。各自是非,学習・教育目標を念頭に置きながら学習に励んでください。


学習・教育目標

項 目 学習・教育目標
(A) 技術者倫理 専門分野の諸問題に対して論理的に判断する能力を身につける。
(B) コミュニケーション 物事を相手に分かりやすく,かつ正確に説明するためのプレゼンテーション能力を身につける。相手の考え・立場を理解し,自分の意見を的確に伝えるためのディスカッション能力を身につける。
(C) 社会的・国際的・地球的視点 異文化・習慣を理解し,社会的・国際的・地球的視点から多面的に物事を理解する能力を身につける。
(D) 共同作業 互いの意見を尊重し共通の目標達成のために,作業分担,協力を積極的に進める能力を身につける。
(E) 基礎・専門知識の習得 数学・物理・情報技術などの基礎知識および電気磁気学・電気回路をはじめとする専門知識を身につける。
(F) 自主的・継続的学習能力 人文社会・自然科学・専門知識を土台として,継続的に自己啓発に取り組む能力を身につける。
(G) 実験等の計画・遂行能力 目的に応じて実験等を計画し,適切に実行することができる。収集した実験結果から,定性的・定量的な結論を導き出す能力を身につける。適切な図表と文章表現により実験報告書等を作成する能力を身につける。
(H) 問題発見・解決能力,自己判断能力 問題を自ら発見し,その問題を解くための能力を身につける。問題に直面したときに,与えられた条件下で有効な手段方法を見出し,適切に実行して解決する能力を身につける。

3-2 教育カリキュラム

履修科目の区分

履修科目の区分を表3に示します。後述する卒業要件や進級条件をきちんと把握し履修計画を立てる上でも,この区分をしっかりと理解することが重要です。

また,各科目区分はさらに必修科目と選択科目に分類されます。必修科目は必ず履修し単位を修得することが必要な科目です。選択科目は,ある分野の中から規定の単位数以上の修得する必要がある授業科目です。

履修科目の区分

基盤教育科目
初期導入科目
 大学生活を始める上で必要な学生としての心構え,専門分野への興味発揚,
教員や学友とのコミュニケーションの図り方などを手引きする科目

リテラシー科目
 英語やPC・インターネットの使い方など大学での学習生活の基本を養う科目

教養科目
 社会人として必要な幅広く深い教養と総合的な判断力を培い,豊かな人間性を
養うための科目

基盤キャリア教育科目
 社会的・職業的自立に向け,必要な知識,技能,態度を養うための科目

専門導入科目


 専門教育を学習する上での基盤的素養を身につけるための科目
専門教育科目
工学部共通専門基礎科目
 専門的学習を行う以前に,工学部学生が身につけるべき数学・物理学・化学 などの基礎科目

工学部共通専門科目
 工学士が身につけるべき,工学全般の素養,知識を養う科目

学科専門科目
 電気電子工学科で開講される基礎から応用までの専門的知識を養う科目 実験・卒業研究を含む12の必修科目と専門選択科目A群・B群がある
A群として学科専門分野の基礎として重要な9科目が指定されており,内 5科目以上(10単位以上)を3年次終了までに修得する必要がある
B群として深い専門知識を学ぶために25科目が開設されており,3年次終了までにこの中から14単位以上を修得する必要がある

各授業科目の履修年次と学習目標

電気電子工学科の学生が卒業単位に含めることのできる授業科目を表4に示します。ただし,教養科目については履修案内(工学部)を参照してください。表4に示すように各科目には,標準履修年次が指定されています。特に必修科目については,なるべくその指定年次に単位を修得しておきましょう。また,同表に授業科目ごとの学習教育目標を示します。各授業を履修する際には,その授業の目標をしっかりと把握してください。授業科目の選択の参考のために,専門教育科目の関連性を表5に示しました。表において,必修科目は[電気電子数学]のように四角で囲い,専門選択科目 A 群の科目にはアンダーラインをつけてあります。

各授業科目の履修年次と学習目標(PDF)

専門教育科目の関連性(平成30年度入学者用)(PDF)